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奪われた女たち――ある妻と娘の場合――・18(完)

「ひっひ」
 露木の下卑た笑い声が響いて、ぱんぱんと肉を打ちつける音が聞こえ始める。
「ど、ち、ら、に、し、よ、う、か、な……」
 そんな歌を口ずさみながら、露木は咲野子と真穂を立ちバックで交互に突いていた。
「つ、露木様! お願いですからどうかわたしに、咲野子に子種をお恵みください! こんな
状態でお預けにされたら、わたし、もう、おかしくなっちゃいそうです!」
「ママだけなんてずるい! 真穂も! 真穂にも露木様の精子、いっぱいください!」
 咲野子と真穂が、肉棒に尻をこすりつけて露木のザーメンをねだる。
「……!!」
 妻と娘のそんな切ない叫びを耳にした、瞬間。
(あ、ああ……)
 雅文の脳裏を、真実がかすめた。

 ――あの二人は、本気で奪い合っている――

 そうなのだ。
 咲野子と真穂は露木を、あのクズ男を、どうしようもないほど欲しているのだ。
 圧倒的なオスの力で自分たちを屈服させ、しびれるような性の悦びを味わわせてくれた露木
和鷹という男を独占するために、肉体の全てを駆使して力の限り闘っているのだ。
「へっへ。必死だな、二人とも。まあそれだけ俺のチ○ポがいいってことか」
 得意げに露木が語ると、
「はい! 最高です! 露木様のおチ○ポは全てが最高なんです! 子供ができたら、わたし
必ず産みますから!」
「真穂も産みます! それに露木様の奥さんにもなります! ママには無理だけど、真穂には
できます!」
 咲野子と真穂が立て続けに口を開いて自分をアピールする。
(そ、そん、な……)
 二人の淫らな絶叫を聞いて、雅文は自分の中で何もかもが崩れ落ちたような気がした。
(い、いや……いいや……)
 心のどこかでは、とっくに気づいていた。
 咲野子と真穂の気持ちが、日に日に自分から離れているということに。
 二人にとって支えたい、助けたい存在だったはずの自分が、いつの間にか快楽を得るための
単なる口実にすぎなくなっているという動かしがたい事実に。
「っ……!」
 ぎり、と唇を噛む。
 認めるのは、耐えがたかった。
 現状を受け入れるなどと言いながらも、目の前に転がっている本当の現実からはずっと目を
背け続けてきたのだ。
 だが、そんなごまかしはもう効かない。
 露木が負債分の支払いを受けたと認める時まで、この爛れた契約は維持されていく。
 しかし、雅文の支えとなるものはもう何一つとして残ってはいないのだ。
 唯一の拠り所であった家族の絆さえも失くしたこの先、待っているのは真の地獄と呼ぶべき
空しく虚ろな日々でしかない。
「んー……じゃあまあ、とりあえずこっちでいいか」
 考えるのが面倒になったのか、露木は無感情に一言呟くと、咲野子の桃尻を握り潰すように
つかんでそのままペニスを挿入した。
「んっ!」
「ふっ、ふっ、ふっ、ふんっ!」
 突然の攻勢に不意を突かれ、驚いたように顔を歪める咲野子を、しばらくの間荒い上下動で
徹底的に突きまくる。
「んっ、んんっ、あっ、ああぁっ!」
「ほら、出すぞっ!」
 そして、喘ぐ咲野子を突き放すように叫ぶと、露木は表情一つ変えないままに、白い濁りを
子宮の奥深くへと打ち込んでみせたのであった。


「……あ」
 雅文は、立ったまま意識を失っていた。
「そら、出すぞ真穂! お前の子宮にも直接注いでやるからな! しっかり受け止めろよ!」
「は、はいっ! ください! 露木様の精子、直接子宮にくださいいっ!」
 気がつけば浴室の二回戦はもう終わりに近づいていて、雅文は結構長い時間が経ったのだと
ぼんやり思った。
「ああ、そうだ……」
 半死半生のような顔で言うと、ふらりと洗面台横の棚に手を伸ばす。
「ローションの在庫、確認しとかなきゃ……」
 もごもごと、口の中で呟いた。
「それから――」
 性具の準備もしておかないと、の一言は、喉の奥に消えて言葉にならない。
「う、うぅん! 真穂の、真穂の中にいっぱい、いっぱい来てぇ!」
「あ、ああん! 次は咲野子の番です! オ○ンコ突いて! もっと突いてくださいぃっ!」
「……」
 交互に露木を求める妻と娘の声が、容赦なく耳をついた。
 夜になって床に入れば、二人にはさらなる肉欲の宴が待ち構えているに違いない。
 今日は、何をされるのだろう。
 妻と娘は、あの淫獣のような男に一体どんな辱めを受けるというのか。
 そして二人はそれをどれほど喜んで迎え入れ、あいつを――。
「くっ……」
 胃の奥からむかむかと、酸っぱい不快感がこみ上げてくる。
「……ぺっ」
 洗面台につばを一つ吐きつけ、壁にぶちまけられた自分の精液を一瞥すると、雅文は全身を
引きずるような重い足どりで黙ってそこから姿を消した。


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