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奪われた女たち――ある妻と娘の場合――・8

「さて。メイクも済んだところで本番を始めるとしようか」
 いけすかない国語教師を思わせる気取った口ぶりで言うと、露木は咲野子を立たせて、本の
朗読を命じた。タイトルは『犯された女子校生』。タイトルが示す通り、ひねりも何にもない
ごくありふれた筋の官能小説だ。
「一回でも噛んだり、ちょっとでも止まったりしたら教育的指導だからな」
「は、はい」
 再び背後に回った露木に威圧され、咲野子が緊張の面持ちで口を開く。
「その男は、何の前触れもなくうちに乗り込んできました……」
 よく通る澄んだ声で淫猥な言葉が紡がれ出すと、
「ひひ、そうそう。昔もそんな風に綺麗な声で男を誘うように演説してたよな」
 露木はありもしない妄想を咲野子の耳元に吐きつけ、蛙のように喉をぐふっと鳴らしながら
にやついた笑みを浮かべた。
「そらっ」
 骨っぽい指が、突然身体をまさぐり出す。
 痴漢のような手つきで咲野子の制服の中に左手を滑り込ませると、ブラの上から乱暴に両の
乳房を揉みしだいた。一方右手はといえば、昂ぶる情欲をそのままぶつけるようにスカートの
奥へと突っ込まれ、ぐにぐにと力任せに尻から腿にかけてをなで回している。
「へへ、やっぱいい身体してるよな、咲野子は。肌がもっちりと吸いついてきて、どこを何回
触っても全然飽きがこない」
「わたしの、身体は……その全てが敏感になって……どこかむずがゆいような、感覚に……」
 露木の下品な感想に耳を貸すこともなく、咲野子は懸命に朗読を続けた。
 おそらくは、ただ目に入った字面だけを言葉にしているのだろう。官能的な情緒とは無縁の
酷い棒読みがリビングに響く。
「そら、今度はこっちだ」
 ひとしきり尻肉の触感を堪能すると、露木は右手を前に回して恥毛をくいくいと引っ張り、
チャックでもするように割れ目の上をつーっと指でなぞった。
「あれ、なんかしっとりしてるな。もしかして、もう濡れてるのか?」
 面白そうに言うと、
「どれ、ちょっと確かめてみよう」
 スリットに中指を潜り込ませ、くちゅくちゅと咲野子の穴をかき回し始める。
「骨ばった太い指が、わたしの中に、入り込んで、き、てぇんっ……」
 敏感な肉ひだをくにくにと弄り回され、淫水の染み出す音が聞こえてくると、咲野子の声に
微かな喘ぎの色が混ざった。
「ほら、ここなんだろ。咲野子の気持ちいいところ。俺が毎日たっぷり突きまくって開発して
やった、最高のGスポットだ。ほら、いいだろ? ん? ほら、ほら、ほら、ほら」
「お、おつゆがいやらしい音を立てて、わたしの、お……おま……んっ……んんーーーっ!」
 弱いところを集中砲火されて軽くイってしまったのか、咲野子が声を詰まらせてしまって、
朗読はあっさりと止まる。
「あーあ、やっちゃった」
 愛液でびちゃびちゃに濡れた指をぺろりと舐めながら、露木はしてやったりといった表情で
にたりと口角を上げた。
「さて、それじゃあお仕置きだな」
 嗜虐の光を眼に浮かべると、雅文と真穂の間に割り込むように咲野子を壁際へと押しやる。
「そこに手をついてケツを上げろ」
「っ……う……」
「へへ、いい格好だな」
 服従のポーズをとる咲野子をなめるように見下ろすと、露木が勢いよくスカートを捲った。
「やっ、やんっ!」
 反射的に、咲野子の口から少女のような悲鳴が漏れる。
「おお、これこれ」
 声を弾ませる露木の目の前であらわになったのは、いつも着けている大人っぽいデザインの
下着ではなく、いかにも清楚な女子学生が履いていそうな純白のコットンパンティー。
「昔階段の下から覗いてやった時も確かにこんなパンツだったな。もったいぶらずにさっさと
見せればいいのに、お前ときたらやたらガードが固くてよ。決定的瞬間を捉えるまでには随分
苦労したもんだぜ」
 手前勝手に回想すると、露木は咲野子の羞恥心を煽るようにゆっくりパンティーを下ろして
右足だけを抜いた。
「ひっひ。どーれ、と」
 自分の腰に巻かれた革ベルトをおもむろに外すと、輪を作って両端を引き、ぱんぱんと威嚇
するような音を何度も鳴らしてみせる。
「あ、あの、何を……」
「あぁ? いいから黙ってケツを上げてろ」
 怯えた顔で質問する咲野子を理不尽な体罰教師のような声で容赦なく叱責すると、
「全く、あの程度の本もまともに読めないなんて……」
 露木はベルトを持った右腕を、いきなり大上段に振り上げた。
「お前は本当に頭の悪いバカ女だ……なっ!」
 まるで野球の投手が全力投球でもするみたいに、突き出された尻に向かってベルトのムチを
思い切り叩きつける。
「ひ、ひいいいぃっ!」
 すぱあぁん! と乾いた打撃音とともに、咲野子の悲鳴が狭いリビングに響いた。


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